皆さん。
初めまして。
元銀行員のよぴです。
今回は銀行員時代の苦労話を
語りたいと思います。
是非、最後までお付き合いください。
テーマは、
「年金担保貸付」
です。
知ってる人はいますか?(笑)
若い人には無縁の制度ですが、
FPの試験範囲にもちょろっと入ってる制度です。
と言っても、
令和4年3月に終了する(新規申込)ので、
FP勉強する人もしない人も、
覚えなくて大丈夫です。
銀行員時代、融資の窓口で、
私は約3年この国が謎に作った制度に苦しみました。
どんな苦労があって、どんな理由で終わるのか、少し紹介したいと思います。
というのも、年金担保貸付は事件が多すぎて、
語りだしたらキリがないほど思い出があるので、
衝撃的だったエピソードをいくつか紹介します。
間違っても、家族や知人にこの制度を勧めないよう
お願いします。(>_<)
では、始まり始まり。
年金担保貸付とは
年金担保貸付とは、その名の通り、
年金を担保にお金を貸してもらえる制度
です。
年金担保貸付制度は、国民年金、厚生年金保険に基づく年金受給権を担保として融資することが法律で唯一認められた制度です。保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品の購入などの支出のために一時的に小口の資金が必要な場合にご利用いただけます。
年金担保貸付制度は、令和4年3月末で申込受付を終了します。申込受付を終了するまでの間は、従来通り年金担保貸付の申込が可能です。また、年金担保貸付の返済期間及び返済方法は従来と同様です。
公式HPより 厚生労働省
現在年金を受給している人は、
年間の年金受給額の合計金額の範囲内で、
お金を借りることができ、
返済は年金から天引きされる形で行われます。
年金受給者が、年金の一部を気軽に前借できるワケですね!
年金から天引きされるなら返済が滞るリスクもない!
そんな、甘い考えで作った制度なのでしょう。
が、
銀行員は怒っています。
この制度のせいで、
全く利益にならない業務をして、
手間と時間をかけて、手続きをし、
話が通じない年配の方々とバトルする羽目になるので(>_<)
なぜか、申込はゆうちょ銀行、農協、労金等を除く、金融機関窓口。
役所で受け付けしてよ!!と思う日々。
申込用紙等、記入してもらう用紙は5枚ぐらいでしょうか。
銀行員が記入する用紙は4枚ぐらいでしょうか。
記入する用紙はどれも細かく、複写が2~3部含まれています。
銀行員が書類を作成するのも、申込用紙を書いてもらうのもかなり大変です。
確認資料も年金証書や印鑑証明、年金受給金額が分かる書面など、
多岐に渡り、コピーを取ったり大変です。
(※公的な制度は手続きがアナログが多い。)
全ての作業はトータルスムーズにいっても、
1時間半ほどかかります。
相手は年金受給中の、70歳以上の高齢者が大半。
ボールペン持ってる手も震えてる。
精神状態不安定な人も多い。コワい。
貸付もさることながら、
完済した後の手続きも結構面倒なのです。
(※長くなるので割愛)
しかも、1回借り来た人は常連の様に何度もやってきます。
追加貸付はできないのですが、
繰り上げ返済して、同時に借入申込ということが、
月に一度、
20日の日だけできるので、20日は人が殺到し、
昼ご飯にありつけない時もありました😨
超マッハで手続きしても、
繰上返済&新規申込のときは、
1件2時間半ぐらいかかったり。( ノД`)シクシク…
手続きがかなり大変で、
手数料が数千円しか銀行に入らないので、
商売あがったりの、迷惑な制度。
なので、
「年金の受け取りは、当行で!!」と言いつつ、
年金担保貸付をしたい人には、
他行で年金受け取りを勧めるという、
圧倒的な矛盾を積極的にしていました。
年金担保貸付の問題はそれだけではありません!
貸付の審査は甘く、年金受給者なら簡単に借りられます。
が、
ちょっとした前借りの制度(年金担保貸付)を利用する高齢者は、お金に無頓着な人が多く、融資後、返済期間に入った途端、徐々に生活に困窮し始めます。
申込の際、
何度も返済期間中の受け取り額を、
説明しているのに、、、
残念です、、、。
【実録】当時の会話内容
1か月あたり、3万円になりますが、
生活は大丈夫ですか?
大丈夫!大丈夫!
家族が生活は全部見てくれるから、
小遣い程度あれば、大丈夫!
こんな感じです。
お金借りるのに、ゆるすぎます!
年金を担保に借りるとは言え、金利や保証料がかかります。
借りられても、年間の年金額の範囲内なので、
大した金額は借りられません。
にも関わらず、必死で30~180万円程を借りに来ます。
驚きの連続です。
そして、返済期間中に厳しくなったら、
借り換えを繰り返す、借金地獄状態になる人が登場します。
もっと計画的に、考えて生活しろ~!!
そう思いながら、日々受付をしていました。
以上、生活困窮者を増やしてしまう要素があり、
問題を抱えた制度ということで、
ついに令和4年3月に廃止となるようです。
100件以上受付した私としては、
当時の苦労を思い出しつつも、
終わりが確定して、安心しました。
(もう銀行員じゃないけどね。笑)
年金担保貸付は、普通の融資と同様、
反社に関わることやギャンブル等は利用できませんが、
様々な使途に利用することが出来ます。
何に使ったかを追いかけるコト(資金トレース)もしないので、
自由に使えますが、
資金使途の申告と購入したいものの資料を確認することが義務付けられています。
資金使途を尋ねると、
下記の様な回答がありました。
・家具、家電が壊れたから新しいのを買いたい
・中古車を買いたい
・子ども、孫のお祝いをあげたい
・被災した家族にお金を送ってあげたい
・自宅の改修に使いたい
等、、、
一番多かったのが、家具家電でしょうか。
家族に面倒を見て貰ってるなら、
家具家電も家族に買ってもらってください!
年金を担保に借入してまで、
家族は買って欲しいと思ってないじゃ。。。
祖父母が借金してお祝い用意してくれても、
私なら嬉しくないわ!
って思いながら、聞いていました。
(もれなく、長々身の上話も聞かされる、、、)
本当に借り入れの必要あるんですか?
今ならやめられますよ!!
毎回、必死で引き留めようと試みますが、
年配の方々は結構頑固な方が多く、
諦めて貰えず、やむなく受付せざるを得ない感じでした。
当時、パワハラ上司の下で働いていた私は、
申込を断り切れず受付たら、怒られるという、
板挟みで苦しみました。。。
正当な理由があって、申込ができないお客様に、
丁重にお断りしたことがあるのですが、
暴言を吐かれ暴れられ、申込書を破られたことがあります。
こんな感じで、
何かと事件が多くて、手続きが面倒な年金担保貸付というものに、
銀行の融資係は苦労しています。
年金担保貸付の辛かったエピソード
ここまで読んでいただいた方は、
既に辛いエピソードを感じてくださってるかもしれませんが、
もう少し深堀して、苦労を語りたいと思います。。。
苦労話ネタが豊富でゴメンなさい。
相談、申込の苦労
銀行の融資係は、
各種ローンや事業性融資の相談、
稟議や格付の仕事など、
やることが沢山あるので、
普通に忙しいのですが、
年金担保貸付の相談が来店した瞬間、
「今日は終わった😨」と思います。
なんせ、申込をどんなに急いで手続きしても、
1時間はかかりますから、、、( ノД`)シクシク…
誰か代わってくれ~
生産性のない手続きなので、みんなやりたくないのです。
銀行にとっては利益にならない制度なので、
手続きしても、個人の成績にならないし、
ただただ、忙しいから申込に来ないで~と思っています。
テレビ電話で申込できる銀行の支店もあるようですが、
不慣れな高齢者は、すぐに対面で受付してもらえる銀行窓口にやってきます。
辛かったのがコチラ⇓⇓
・話が通じない
・手続きに必要書類や確認資料を忘れる
・臭い
・文句を言われる
・キレる。怒鳴る。
・字が汚い
・書き間違いが多すぎる
・夫婦で申込
・常連(何度も借りに来る)
・家族とケンカが始まって仲裁に入る
・緊急時の連絡先が怪しい
・家族の連絡先が怪しい
・資金使途が怪しい
・話が長い
・説明に時間がかかる
・友達や家族に年金担保を勧めて申込にくる
・何回も漢字が分からないと言われる
など、、、
もう、語りだすと止まりませんね。笑
高齢者ならではの問題もあれば、
年金担保貸付で借りに来る老人達に限っての問題も多く、
大体後者に悩まされます。
なぜか偉そうな態度で申込に来る人がいます。(お客さんだぞ!お金借りに来てやってんだぞ!的な感じです。)
全員ではありませんが、「臭い」というのは、
結構辛かったです。
加齢臭ではない謎の、、、( ノД`)シクシク…
キレる、怒る、怒鳴る、も精神的にやられます。
緊急時の連絡先も適当に書かれると大変です、、、。
ご高齢の方が多いので、亡くなったり病気で連絡が取れなくなることもあり、
その際、連絡を取れないと、銀行は債権者権利で、住民票等を確認したり、
家まで訪問して確認しなければなりません。
(※実際に行きました。不在だったため、周辺住民への聞き取りも。)
家族がいない人の中には友人や親しい人を連絡先に書く人もいます。
続柄のところに「愛人」とか「内縁の、、」とか、
書くのは良いですが、「愛」という漢字が分からないとか言われ、メモ帳に大きく「愛」と書いてあげたり、大変です。
まだまだ苦労話はありますが、
続いて、申込後の苦労を語りたいと思います。
融資実行後の苦労
年金担保貸付の融資実行が決定すると、
融資金が、年金受給の普通預金の口座に振り込まれます。
融資の実行の連絡を電話でする必要があり、
電話に出ない、連絡が付かない場合は振込をできないことがあります。
電話連絡も面倒すぎる。
でも、国が決めた制度なので、
銀行は勝手に省略できない、、、
また、その他にも付随して業務が発生します。
契約書類等の管理や、融資実行の書面の送付、
返済予定表の送付、借入残高の問い合わせがあった場合の対応、
繰り上げ返済、新規借り入れの申し出の対応、住所変更等の諸届対応、
完済後の契約書の返却などなど、、、。
そして、なにかとアナログな手続きが規定されています。
こんなに作業を代行しているのに、
銀行が数千円の手数料しか貰えないなんて、
割に合いません。
しかも、一生懸命手続きしても、
借入を繰り返す人が続出するばかりで、
本当に良くない制度ですよね。
年金担保貸付の利用者からの問い合わせ例と
(※心の声)がコチラ⇓⇓
・今借り入れ残高いくらですか?
・いつ返済終わりますか?
(※返済予定表みてください。)
・返済予定表を失くした。
(※なくさないでください。)
・生活が苦しいんですが。
(※ほら言わんこっちゃない。)
・また借りたいんですが。
(※先に繰上返済してください。
そして、借入は他行でお願いします。)
こんな感じです。
問い合わせ内容は普通に思えるかもしれませんが、
高齢者相手で、意外と対応が大変だったり、、、。
問合せ1件につき手数料貰えたら頑張れるかもしれませんが、
そんな訳もなく、、、、
他の仕事をしながらは辛かったです。
さいごに
いかがでしたか?
ほんの一部ですが、
年金担保貸付の問題点や、
申込受付での苦労を紹介させていただきました。
長々と失礼しました。
苦労を共感してくれる方がいたら嬉しいです。
昔のFPの試験には、
年金担保貸付が出たりしましたが、
もうすぐ終わる制度なので、
覚える必要はありません。
しかし、
100件以上の申込を受付した私としては、
身近な人が年金担保貸付をしようとしていたら、
全力で、引き留めて欲しいと思います。
令和4年の3月まで、
あと1年程、新規申込ができてしまうので(>_<)
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